Paterson

ジム・ジャームッシュの映画「Paterson(パターソン)」を見てきましたよ。

ジャームッシュの映画はなんだかんだで何本か見たことがありますね。

ストレンジャーパラダイスとかね、結構フェイバリットです。このストレンジャーパラダイスって概ね何も事件も起こらないし、なんとなく淡々と進んでて、んでもってスタイリッシュな感じですよね。ニューヨークだかフロリダだか、舞台は違うのにトーンが一緒っつーか、それっぽい背景は全然出てこないっつーか、ね。

で、パターソンですが以下はネタバレなのかどうかわかんないので見なくてもよいと思います。

あらすじといったあらすじがないのでアレなんですが、家と職場とバーくらいしか出てこないです。ま、いわゆる何気ない日常ってだけの映画でした。きっと誰もがこの何気ない日常が幸せなんだとか、ありきたりの毎日が詩的になるんだとか言いそうですね。

パターソンはカイロレンが演じてますが、非常にもっさりした古くさめの凡人ってことでよく似合ってました。たぶんこの人、こういう人なのかもしれないな、と思えるくらいです。なのでスターウォーズのカイロレンが、悪そうなんだけどそこはかとなく鈍くさい雰囲気が出てるのはやっぱこの人ならではなのかな、と思ったり思わなかったり。

シーン毎では、何か起きそうなんだけどやっぱり何も起きない、みたいなね、大した事件は何も起きないですよ。だって日常のたった1週間の話ですからね。

朝起きて会社行って、帰ってメシ喰って寝る、みたいなさ。

ちょっとマヌケでかわいい奥さんがいて、安定した職場があって、多少のプライベートな友人がいたらそれでいいじゃん、って言ってるようなものです。だから主人公はSNSをやったりしませんのでつまらない承認欲求丸出しみたいな人たちとは違うんでしょう。

じゃあ何を映画で伝えたかったんでしょう?それは知りませんね。

ジャームッシュの映画って繰り返し繰り返しのシーンが多いんですよね、なんかルーチンワークに拘ってるというかコンプレックスがあるのか知らないけど。

若いときはその繰り返しが退屈、圧迫、恐怖みたいな気がしたけど、中年も過ぎたらそれが安心、安定にイメージが変わってきたのかな、なんて思ったりしましたね。

なんつーか時代が違うとか言われたらアレですけど、このパターソンを見た若い人が、この変わらない日常にある幸福感にほっこりする、とか言ってたとしたら、つまらないなーと思います。

とりあへず平日昼間のミリオン座は、なんだかよくわからないおじいさんやおばあさんがいっぱいいて映画見てんだか寝てんだかわかんないような感じでした。アレはなんなんすかね?年間パスみたいなのがあって涼みに来てるんでしょうか?

エンドロールになった瞬間バタバタ立ち上がって退出しちゃうんですけど…オレは最後に明るくなるまでゆっくり見てたいんだけどな。