中年ロッカー

50も過ぎたようなオッサンが、「あいつらなんて!」とか「この社会は!」みたいな反体制的なことを歌うのは面白いね。

たぶん若いときから同じようなことを歌ってきたんだろうけど、五十年も生きて社会の何も変えられなかったと恥ずかしくなったりしないのだろうか。自分が若いときに生きづらかった世の中に文句だけ言っておいて、今の若者が生きづらくなってる社会にそのまましちゃったことの責任を感じるのだろうか。

反体制気取りの若者も五十歳を過ぎてすっかり体制側にいることにすら気づかず、尖った振りをしてるならそんなオモシロイことはないね。

たぶんだけど、現実の若者の叫ぶ不満や不安はもっとリアルだろうから、中年ロッカーが息巻いてるのはやっぱり「ごっこ」に見えるんじゃないかな。定職もあったり、家族もあったり、それなりの地位があったりね。なんだかんだでそういうものを多少なりとも手にしておいてさ、ダメになった世の中作りに貢献したわけだよ、望むと望まざるとに関わらずね。

中高年はさ、もうちょっと反省したほうがいいよ。オレが若いときにはさ、やっぱ今の大人がアホだからクソみたいな世の中になったと思って反抗したわけじゃん。で、自分が大人になってみたらもっとクソな世の中にしちゃったよね。

そういう意味でも中年ロッカーが「あいつらのせいでー」みたいな歌を歌うのはなんだかなーってなるよ。もちろん若い頃の自分のパロディーってことならわかるし、昔の自分を懐かしがってるならそれもたまにはいいけどね。ただその程度のパッションで反体制っぽいことしててもリアルな若者には見下されると思うけど(笑)。

何にしても中年ロッカーには中年なりの怒りと戦いの矛先はちゃんとあるだろうからね、今のリアルな叫びを聞かせてほしいわ。